家屋解体や内装解体・原状回復・スケルトン工事の分からないが分かる「解体の教科書」

家屋解体・建物解体で主に用いられる11の解体工法

家屋解体・建物解体で主に用いられる11の解体工法

家屋解体・建物解体で主に用いられる解体工法

家屋やビルなどの建物は、それぞれ個々に構造や立地条件が異なります。解体工事もそれらの条件に合わせ、さまざまな工法を用いて作業が行われることになります。例えば同じ家屋解体でも、木造と鉄筋コンクリート造では使われる重機や方法も変わってくるといった具合です。各工法ごとにそれぞれメリットやデメリットがありますから、解体工事を依頼するにあたっては、そうしたものについてある程度知っておきたいところでしょう。今回は、解体工事で用いられる主な11の解体工法について、それぞれの内容や特徴などをご紹介していきます。

家屋やビルなどの建物は、それぞれ個々に構造や立地条件が異なります。解体工事もそれらの条件に合わせ、さまざまな工法を用いて作業が行われることになります。例えば同じ家屋解体でも、木造と鉄筋コンクリート造では使われる機械や方法も変わってくるといった具合です。各工法ごとにそれぞれメリットやデメリットがありますから、解体工事を依頼するにあたっては、そうしたものについてある程度知っておきたいところでしょう。今回は、解体工事で用いられる主な11の解体工法について、それぞれの内容や特徴などをご紹介していきます。

1.ミンチ解体・分別解体

ミンチ解体とは、バケット(ショベル)などのアタッチメントを付けた重機を用い、家屋などの建物をまとめて一気に取り壊すという解体工法です。足場が不要で、かつ工期も短いことから、以前は解体工事の主流として行われていました。しかし、この工法は建物の各部分を一緒くたに解体するため、木材や金属、ガラスなどの資材が全て混ざってしまいます。そのため各資源をリサイクルすることができず、全て埋め立て処分にするほかないというデメリットがありました。その上、アスベストが除去されずに混じってしまうという危険もあり、2003年に「建築リサイクル法」が施行されて以降は、ミンチ解体は禁止されています。
ミンチ解体に変わって現在行われるようになったのは、分別解体と呼ばれる方法です。こちらの解体工法では、工事で排出された廃棄物中の各資源を、分別しつつ工事を進めなければいけません。特に、コンクリートとアスファルト、木くずは工事現場で分別することが義務付けられています。重機で解体したのち手作業で分別を行うため、ミンチ解体よりも時間やコストがかかりますが、分別を怠った解体業者には法律により罰則が課せられることになっています。

2.手壊し解体

手壊し解体は、文字通り重機を使わず、手作業のみで建物の取り壊しを行う解体工法です。現在の解体工事では、重機と手作業を合わせた「重機併用手壊し工法」と呼ばれるものが主流ですが、こちらの工法では、純粋に人力のみで家屋等を解体していきます。扱う道具も、バールやかじやといったものが主体です。重機が入れないような、住宅密集地での家屋解体などに用いられることが多くなっています。
手壊し解体では、家を建てるのとは逆の順番で解体を進めていきます。まず畳や建具類を取り除いてから、内装を解体し、屋根瓦を下ろした後梁や柱を取り壊します。そして基礎のコンクリートを解体して、撤去するという流れになります。この工法は、重機を使う通常の方法に比べて騒音も少なく、分別もしやすいのでリサイクル率が上がるというメリットがあります。その一方で手間がかかるため、工期が長くなりコストも上がりやすいというデメリットもあります。また相応の技術がいるために、現在では手壊しができない解体業者も増えつつあります。

3.機械解体

こちらは前述のように、手壊し解体に重機を合わせた解体工法で、重機併用手壊し工法とも呼ばれます。木造家屋の解体工事において、解体業者が行う最も一般的な工法となっています。
日本の住宅は隣家と建物が密接していることが多く、そのままでは敷地内に重機が立ち入れないことも少なくありません。そうした場合は、最初に手壊しで解体を進めて重機が立ち入れるスペースを確保し、その後機械による解体作業と人力による手壊しを平行して行っていくことになります。機械を使うため効率的ではありますが、粉塵や騒音が発生しやすいという問題もあるため、慎重な工事や近隣への配慮が必要になります。

4.カッター(ウォールソー)工法

カッター工法はウォールソー工法とも呼ばれ、ダイヤモンドブレードをセットした加圧機械を用いて、鉄筋コンクリートを切断するという解体工法になります。この工法は、テナントビルなどの耐震工事等において、既存部分を解体する際などに使われます。
コンクリート製の建物を解体する際、従来はブレーカーやピッチングハンマーを用いてコンクリートを破砕する「ハツリ」という方法が主流でした。しかし、これらの方法では、騒音やコンクリート粉の飛散が目立つという問題もありました。一方このウォールソー工法では、そうした振動や騒音はほとんど発生しません。さらに粉塵の飛散もほぼないため、近隣への影響も最小限で済みます。そのため、営業中の商業施設や、開館中の公共施設でも改修工事が可能というメリットがあります。また、家屋が密集している地域の解体工事においても、公害対策として有効です。

5.圧砕機工法

圧砕機工法は、コンクリート圧砕機と呼ばれるアタッチメントを重機に取り付け、建物や家屋の取り壊しを行う解体工法です。油圧式のハサミ状の機械を用い、鉄筋コンクリートや鉄骨に圧力をかけ、破砕したり切断するという方法になります。アタッチメントと重機が分かれているものと、最初から重機と一体化しているタイプもありますが、どちらもコンクリート圧砕機と呼ばれています。
RC(鉄筋コンクリート造)建築物等の解体においては、古くはスチールボールや大型ブレーカーを用いたものが主流でした。しかし、昭和50年代になると油圧圧砕機が開発され、解体業者は従来より少ない振動や騒音で工事を行うことが可能となりました。また、この工法だと3階程度の建物であれば単独で取り壊すことができ、効率的に解体工事を進められるというメリットがあります。そのため、現在のコンクリート解体では主要な方法として用いられていますが、粉塵の発生量が比較的多いという問題もあります。

6.ブレーカー工法

ブレーカー工法は、ハンドブレーカーと大型ブレーカーの2種類に分けられます。そのうちハンドブレーカー工法は、文字通りハンドブレーカーと呼ばれる機器を用いて、コンクリートを破砕する解体工法になります。ハンドブレーカーは油圧式と空圧式の2種類がありますが、どちらも先端の杭を激しく振動させ、コンクリートを細かく砕いていきます。比較的サイズが小さく持ち運びしやすいため、部分的な解体工事や、重機が入れない狭い場所での作業等に適しています。ハンドブレーカーの扱いには相応の技術が求められるため、作業にあたってはハツリ士と呼ばれる熟練工が必要になります。
一方大型ブレーカー工法は、大型油圧ブレーカーのアタッチメントを付けた重機でコンクリートを削っていくという工法です。原理はハンドブレーカーと同じですが、圧砕機が掴めないような断面の大きな部材や、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート構造)の家屋・建物を解体する際に用いられます。
ハンドブレーカー、大型ブレーカーともに、能率よく解体作業が進められるというメリットがあります。その一方で、打撃によってコンクリートを砕く工事になることから、大きな振動や騒音、粉塵等が発生しやすいというデメリットもあります。

7.転倒工法

転倒工法は、簡単に言うと高い柱や壁を地面に倒すという解体工法です。建物の外壁や煙突などの構造物の解体は、そのままだと作業がしづらく、周辺へ被害を与えるリスクも高くなります。そこで、そうした部分を一旦地面に引き倒してから細かく解体していくというのが、この工法になります。
転倒工法の手順は、構造物や機械等の条件によって異なります。そのうちワイヤーを用いた方法では、まず独立させた壁などの上部に2本以上のワイヤーを取り付け、柱下部のコンクリートを崩して鉄筋を切断した後、ワイヤーを引っ張って倒すというものです。このほかにも、重機と溶断によって鉄骨を引き倒す方法などがあります。
転倒工法は前述のように、作業員や周辺への危険を最小限に抑えることができますが、その一方で作業には高度な技術や熟練が要求されるという特徴もあります。

8.ワイヤーソーイング工法

ワイヤーソーイング工法は、ダイヤモンドを取り付けたワイヤーでコンクリートを切断していくという解体工法で、鉄筋コンクリート造の建物解体等に用いられます。
使われるのはダイヤモンドビーズ(ダイヤモンドを金属と焼結させたもの)を一定間隔に固着させた特殊なワイヤーで、それを切断したい対象物に巻きつけ、専用の駆動機で高速回転させて切断していきます。駆動方式には大型エンジン式、小型油圧式、小型電動式など数種類があり、それぞれの方式によって、さまざまなサイズの構造物を切断・解体することができます。具体的には、防波堤や砂防ダムのような大型のものから、橋脚部分のような比較的小さなものまで切断が可能です。
また、切断方向も水平・垂直など好きな方向に変更でき、しかも地上だけでなく高所や水中での切断も可能なので、場所や条件に捕らわれず作業することができます。さらに振動や騒音が少ないというのも特徴で、なおかつ粉塵の飛散が抑えれられるというメリットもあります。その一方で、コストが高い、切断中の水処理の考慮が必要などのデメリットもあります。

9.ウォータージェット工法

ウォータージェット工法は、水を高圧で噴射することによりコンクリートを切断するという解体工法です。この工法では、特殊なポンプで加圧された30Mpa~250Mpaの超高圧水がカッターとして働き、コンクリートを効率よく削ることができます。ウォータージェット工法はコンクリートのハツリ(破壊)の他に、塗膜はがし(コンクリート表面の異物除去)や目あらし工事(コンクリートの密着強度を増す作業)等に用いられます。
ウォータージェット工法の大きな特徴としては、振動がほぼゼロという点があります。打撃を用いた破壊ではないため、衝撃による振動が発生しません。そのため建物に余計なダメージを与える心配がなく、作業員も比較的安全に作業を進めることができます。また、振動がないために騒音も発生せず、周辺への迷惑も最小限に抑えられます。さらに発生した粉塵も、水と一緒に回収して処理を行ってから排水しますから、環境への負荷を可能な限り減らすことができます。
さらに現在では、研磨剤を混ぜた超高圧水の噴射でコンクリート構造物を切断する「アブレシブウォータージェット工法」も開発されています。これは摩擦熱が発生しないため、引火の危険がある環境下での解体工事等に適しています。

10.静的破砕剤工法

解体工事などでコンクリートや岩盤を破砕する際、場所などの都合上、圧砕機や発破の使用ができない場合もあります。そうした時に用いられるのが、静的破砕剤工法と呼ばれる解体工法です。
この工法は、まずコンクリートや岩盤に穴を穿ち、そこへ生石灰系の膨張剤を充填します。その後時間と共に膨張剤が膨らみ、その膨張圧によって対象にクラック(ひび割れ)が生じ、破砕されるという仕組みです。膨張剤は酸化カルシウムを主成分とており、水と練り混ぜることで水和反応が起こり、膨張圧が発生します。膨張は時間の経過と共に大きくなり、大体12~24時間後にはコンクリート等が破壊されるようになっています。膨張発現時間は気温と関連するため、膨張剤は夏用や冬用など、季節に応じてそれぞれのタイプを使い分けます。
静的破砕剤工法は家屋など建物の基礎を破砕する場合や、橋梁や橋脚等の破砕、また宅地造成等の際に地山を破砕する場合などにも使われます。爆破による破壊ではないため、振動や騒音が発生せず、住宅地などの工事では近隣への影響を最小限にできるというメリットがあります。

11.ミニブラスティング工法

前述のように、現在の日本国内の解体工事においては、主に重機を用いた工法が主流となっています。しかし、これにはかなりの時間やコスト、エネルギーがかかるのが実情です。実際に、重機を主体とした解体にかかるエネルギーは、建物を建設する際に使われるのと同等であると言われています。
一方、小規模の発破を用いて建物を逐次解体する工法であれば、重機主体よりも少ないエネルギーやコストで解体を行うことができます。これは「ミニブラスティング工法」と呼ばれる解体工法で、デンマークなどの北欧諸国やドイツでは、すでに実用化されて工事に取り入れられています。
ミニブラスティング工法では、少量の火薬を建物の壁や床に一定間隔で埋め、連続で爆破させて解体していきます。建物全体を一気に爆破・解体するのではなく、部分的に解体を進めていくため、振動や騒音も比較的抑えることができます。残念ながら日本では、まだ実際の工事にはほとんど用いられていません。しかし現在、各解体業者が実用化に向けてさまざまな実証実験などを行っている段階です。
体業者が実用化に向けてさまざまな実証実験などを行っている段階です。